なでしこJAPANの凋落 ⑦フィジカルの弱さは誰のせい？

東京オリンピック女子サッカーなでしこJAPANが、ベスト8で敗退したことについての考察、第7回目です。

前回記事では、2011年と2021年のメンバーについて、体格(身長)を比べてみましたが、結論から言うと、10年前とほぼ変わっていませんでした。

ところが、体重を比べてみると、その差がハッキリと現れてきます。

2011年は、50Kg台が11名、60Kg台が3名(海堀・宇津木・大儀見)ですが、東京オリンピックは、40Kg台が4名(清水・籾木・三浦・長谷川)、50Kg台が9名、60Kg台が5名(池田・山下・熊谷・菅澤・南)でした。

こうしてみると、やはり、10年前より全体的に線が細くなったことが分かるかと思います。また、攻守の要となるボランチが、屈強な澤・阪口の165cmコンビと比べて、小粒化してどうしても見劣りしてしまうことが、線の細さをより感じてしまう理由かも知れません。

今回、高倉監督が真っ先に挙げた敗因が「フィジカル不足」。確かに2011年のメンバーは全員ガッシリとしていて、大柄な外国の選手に対しても当たり負けしないようなフィジカルを持っていました。(もちろん、テクニックも)

実際に、今回のメンバーは線が細く、フィジカルが不足していたことは否定できませんが、そもそも、一体誰がそんな選手達を選んだのか？と高倉監督には問いたいし、選んだメンバーのフィジカルが不足していると感じていたのならば、何故トレーニングを課して来なかったのかも疑問に残る。

フィジカル不足のメンバーを選んだのは高倉監督自身ですし、フィジカルの不足を補うためのトレーニングを課さなかったのも彼女です。彼女は、この5年間、一体何を見て、何を指導してきたのだろうか。

いや、高倉監督の場合は、今回の主力となった長谷川世代をアンダー世代の監督として、2013年からずっと見てきたわけですから、この時代から適切なフィジカルトレーニングを課していたならば、今回のベスト8という結果は大きく違ったものになったのではないでしょうか。

自分がするべきことをこの5年間、いや8年間、全くせず、東京オリンピックでの敗因を真っ先に「足りないのはフィジカル的な要素」とバッサリと選手を切り捨てた高倉監督には、「自分のことを棚に上げて良く言うわ」という感想を送りたいと思います。

就任当初から思っていたことなのですが、やはり、残念ながら監督の器ではありませんでした。

「代表は育成の場ではない」という意見も確かに分かりますし、フィジカルを鍛えるのは選手自身の責務ということも分かりますが、代表に呼んだ選手を実際に見て「足りないもの」を指摘して、適切なトレーニングメニューを課すことは、監督の大事な役目の一つだと思いますし、今回のように若くて経験の浅い選手ばかりのチームを戦えるレベルまでフィジカルを上げる必要があるケースでは、真っ先に取り組むべき課題だと思いますが。

小柄な体格、弱いフィジカル、チームリーダーの不在と勝てない要素ばかりなのですが、それらを補うはずの肝心の戦術もこれらと同様に、無策でありました。


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