なでしこJAPANの凋落 ③急ぎ過ぎた就任当初の世代交代

東京オリンピック女子サッカーなでしこJAPANが、ベスト8で敗退したことについての考察、第3回目です。

前回記事で書いたように、2016年リオオリンピック予選で敗退したなでしこJAPANは、次の2019年ワールドカップ・2020年東京オリンピックに向けた新しいスタートを高倉新監督体制のもとで切ることになります。

改めてオリンピック予選のメンバー20名を確認してみると、今回中心となるべきだった熊谷世代(1990年)は、中島、高瀬、山根の4名。次世代の中心となるべき岩渕世代(1993年)は、横山(1993年)、山下(1995年)の3名。

残りの13名は既に30歳を超えている6名(福元・近賀・大野・宮間・川澄・上尾野辺)と次回ワールドカップでは30歳を超えている7名(岩清水・鮫島・大儀見・阪口・有吉・田中・川村)。

新しいチームを作り上げて行くにはニ通りの方法があります。一つは、将来を見据えて若手主体のメンバーにガラリと変える方法。もう一つは、その時その時で力のあるメンバーを選び、そこに若手を少しずつ入れて徐々に世代交代を進める方法。

新監督となり、3年後のワールドカップが目標となった高倉監督は、前者の方法を採用します。13名のベテランから9名を外し、初選出5名を含む8名のフレッシュなメンバーを選出します。

8名全員が岩渕世代で、☆池田・杉田(1992年)、☆千葉・☆佐々木・☆高木(1993年)、☆中里・村松(1994年)、増矢(1995年)というメンバー。
(☆は、今回なでしこに初選出)

見た目は何も問題が無いようなメンバー選出方法なのですが、佐々木前監督が4年掛けても一向に進まなかった世代交代、監督が代わったからと言ってそう簡単に進むものではありません。

佐々木監督時代は、熊谷世代も岩渕世代もなでしこのメンバーに選出されたものの、定着が出来なかった選手ばかり。そんなめぼしきメンバーが居ない中で無理やり新しいメンバーを入れても、結果は火を見るよりも明らか。

結局、池田を除く7名は、2019年ワールドカップにも東京オリンピックにもなでしこメンバーとして選ばれていません。

高倉監督が満を持して最初に選んだ8名がこれですから、その後招集されるメンバーも7名と同じような道を歩みます。

その後、2017年に鮫島・上尾野辺、2018年に川澄と、当時招集しなかったベテランを再度呼び戻していることからも、世代交代がうまく行っていないことがハッキリと見ることが出来ます。

ベテランをもう少し残して、彼女たちのモチベーションを「勝つこと」から「次世代の育成」に変えて、アンダー世代の監督として指揮した長谷川世代(1997年)が成長するのを待ちつつ、あせらず徐々に世代交代を進めて行ったならば、その後の結果はまた違ったものになっていたように思います。


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